左利きの魔剣士51
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ユーカリ姫は窓の外に視線を移し、遠くを見るような目をしながら言いました。

 

「あなたの未来のお嫁さんの姿が見えるわ…」

 

「えっ…!マジかよ…。誰なんだ?」

 

「それは…あなたはまだ知らない方が良いと思うわ?」

 

「なんでだよ?気になるじゃん!教えてくれ」

 

「諦めなければ必ずあなたの恋は叶うわ。私の恋は叶わないとわかっているけど…」

 

「お前とイノンドは両想いなんだから、俺よりマシだろ!」

 

「ディルは私から好きだと言われる前は、私には興味なんて微塵もなかったのよ。今だって私の事は忘れようとしてるわ」

 

「それが俺には理解できないんだ。俺ならあんたを拐いに来る」

 

「私には未来が見えていたの。しばらくはディルと幸せに暮らしてたわ。でも見つかってしまって、ディルは首をはねられた」

 

「そんなもんが見えるのか?キツイな…」

 

「ディルの子供がお腹にいて、その子も殺されたわ。今は子供はいないのだけど…。ディルに抱かれた記憶だけは残ってるの」

 

「あいつは一度も女とやった経験がないと言ってたけど…」

 

「この世界ではないわね。私がさせなかったから。別の世界ではしてたの。私はその時とても幸せだった」

 

「別の世界?どう言う意味だよ」

 

「パラレルワールドよ?私が未来を変えると新しい世界が生まれて、別の世界とは切り離される」

 

「て言う事は…、ルリが死んでない世界もあるのか?」

 

「ルリジサ・ボラージは勇者だったから、女医になって多くの人の命を救うはずだった」

 

「理解した。俺がいなければルリが勇者として生きてたんだな」

 

…つづく

説明
処女作の復刻版、第51話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。
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