左利きの魔剣士63 |
妖精界のゲートを使えるので旅費はかからず、セルフィーユに着きました。ルリの母親も一緒に引越しの手伝いをしています。
「お前がこんな都会で一人暮らし出来るか心配だよ…」
「お父さんには適当に言っておいて?妖精界のゲートの事は話さないでね。毎日、会いに来そうでうっとおしいから」
「何かあったら、すぐに帰っておいで?」
「一年間は帰らないわ。必要なものはなるべくこっちで買うし」
「そうかい?寂しくなるね…。やっと帰って来たと思ったら、すぐ離れ離れになるなんて…」
「お母さんの料理が食べたくなるかもしれないけど、一年間は我慢するわ」
「試験に受かったらご馳走を作るから帰って来るんだよ?」
「ええ、必ず戻るわ。楽しみに待ってて」
引越し祝いにはクレスも駆け付けていました。ルリが二年前に通っていたアカデミー普通科の成績表を取り寄せて、魔法科への途中編入の手続きの書類を作成していたので、それをルリに手渡します。
「これをアカデミーの窓口に持って行って、手続きを完了させて来なさい」
「面倒な事をお願いしてすみません、クレス先生」
「こんな事くらいしかしてやれなくてすまないね」
「いえ、学費まで支援してもらって感謝してもしきれないです」
ジンは騎士団の宿舎からルリの引っ越した集合住宅の一室に通うようになりました。
「今日はアカデミーも休みだろ?デートしようぜ」
「休みだから家事でもやろうかと思ってたんだけど?」
「騎士団の宿舎だと侍女がやってくれるから便利だけどね」
「洗濯物も溜まってるし、食器も洗うの面倒で溜まっちゃってて、大変なのよ」
「良かったら俺が手伝うけど?」
「あんたには右腕がないし、お皿を割っちゃいそうだもの。洗濯物には下着だってあるんだからね?」
「ううっ…、イノンドなら家事もサササッて片付けちまいそうだが…」
…つづく
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処女作の復刻版、第63話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。 | ||
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