左利きの魔剣士76 |
イノンドはセルフィーユ王子に呼び出されました。
「其の方はユーカリ姫を気に入っておるようだが、ユーカリ姫は余のフィアンセなので困っておるのだろう?」
「いえ、決してその様な大それた事は考えておりません!姫さまと私では身分が違いすぎますので…」
「余が其の方に褒美としてユーカリ姫を与える事は出来るが、褒美を取らせるほどの事を其の方が成し遂げねばならぬ。何か良い案はないものか…」
「武術大会を開催してその優勝者に与えると言う手もありますが、それですと私ではない者の妻にならなければならぬかもしれない姫さまが不憫ですね」
「しかし武術大会を開催すると言うのは良い案ではないか?退屈凌ぎに持って来いだし、褒美に望む物を与えるとだけ書いて、御触書を城の前に出しておくとするか…」
「姫さまは物ではありませんが、私なら姫さまを褒美に望む事が出来ますね。お計らいに感謝します」
こうしてセルフィーユで武術大会が開催される事になりました。腕に覚えのある者たちが大勢参加申請しに受付にやって来ます。ジンも参加申請しようか迷っていました。申し込み用紙だけもらってルリの部屋に来ます。
「右腕が使えたら参加するんだけどなぁ」
「研究中の義手のモニターでもしてみる?まだ実験段階だから、人体に悪影響が出る可能性もあるのだけど…」
「魔法で動く本物そっくりの義手の事かい?」
「ええ、今作ってる試作品がここにあるわ。まだ人体実験はしてないのだけど、体に負担がかかる可能性が高くて、モニター募集出来ずに悩んでいたの」
「それなら俺がモニターになるよ?」
「使用した感想を、なるべく詳細に書かなきゃならないのだけど、あんたに出来るの?」
「ううっ…!それは面倒くさそうだなぁ」
「口で説明してくれたら感想文は私が書いてあげるわよ?」
「それなら良かった。文章を書くのは苦手なんだよなぁ。三行くらいしか書けそうにないよ」
「あんたに三行以上書けって言う方が無理だってわかってるわよ?副作用とか出たら、すぐに教えてちょうだい。対策を考えるわ」
「ありがとう、ルリ。何から何まで世話になって」
「モニターになってもらえるなんて願ったり叶ったりだわ」
…つづく
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処女作の復刻版、第76話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。 | ||
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