左利きの魔剣士91 |
ルリの父親は昼間から酒を呷っていました。酔っ払ってグチグチ言ってる父親を無視して、ジンとルリは二人で話しています。
「なんでルリから嫌われてたのか、今更になってやっとわかったよ…」
「私も今更になってやっとあんたの家庭の事情とかわかって、何も知らなかったんだなぁって気付いたわ」
「別にわざわざ誰かに話すような事でもないと思ってたし、聞かれなかったから言わなかっただけで、隠してたってわけじゃないんだぜ?」
「責めてるわけじゃないの。もっとあんたの事知りたいなって思っただけ」
「俺の父ちゃんは女好きで遊び人だったってじーちゃんから聞いてた。お前はそうなるなよって言われて育ったから、本気で好きになった女としかやらないって決めてたんだよ」
「そうだったのね。意外としっかりした考え方だから不思議だったの」
「父ちゃんみたいにだけはなりたくなかったんだよ。でも結局、俺は父ちゃんにそっくりなんだなぁってたまに思うけど」
「顔が似てるって事?」
「いや、メリッサが言ってた。他の男と違うって。父ちゃんもすごかったらしい…」
「あんた一体、何の話をしてるの?」
「いや、ルリにはわからなくても良いよ」
「なんだかすごく嫌な予感がするわ」
ルリの父親のボラージが、ジンに酌をします。
「ほら!お前も飲め?」
「お父さん!ジンはまだ十九なのよ?ダメに決まってるでしょ」
「あと少しで二十歳になるんだけどな…」
「あんた十代の頃にも飲んでたでしょ?」
「あれは…友達もみんな飲んでたからさ」
「はぁ…なんでこんな不良と付き合っちゃったんだろ、私」
…つづく
説明 | ||
処女作の復刻版、第91話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。 | ||
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