左利きの魔剣士93 |
ルリの父親のボラージにジンとの結婚を認めさせたので、二人は田舎の小さな教会で地味な結婚式を挙げました。地味なドレスを着ているルリを見てジンはぼやきます。
「もっと派手な結婚式が良かったのに…」
「ここで挙げた方がお父さんやクレス先生も参加できるでしょ」
「クレスはどんな気分で参列してるんだろな」
「すごく嬉しそうだったわ」
「俺がクレスなら悔しくて式には来られない」
「クレス先生はこうなる事を望んでたのよ…」
ボラージが花嫁の控え室に来たので、ジンは先に教会の祭壇の前へ行きました。拍手で迎え入れられます。
「新郎に続いて新婦の入場です」
ルリが父親のボラージに手を引かれて入場します。新郎の友人代表でイノンドが祝辞のスピーチをします。
「私ディル・イノンドは新婦のルリ殿がチャービル卿に拐われた際、私はチャービル卿の用心棒として雇われていた為、新郎のジンジャー殿とは敵同士でありましたが、ルリ殿を救いに来たジンジャー殿に心を打たれ、私はチャービル卿を裏切り、ジンジャー殿と旅をする事にしたのです」
新郎の席にいる老婆が啜り泣きをしています。
「ジンジャー殿には私の妻との仲人もしていただきまして、今こうして私もジンジャー殿の門出に立ち会えた事、友人代表に選んでもらえた事、酷く痛み入ります。私よりも長い付き合いの良い友人が他にもおられたでしょうが、僅か一年足らずの付き合いで信頼を寄せていただけた事、嬉しく思います」
イノンドは正装の騎士団の鎧の腰の鞘からサーブルを引き抜くと、高く掲げました。
「お二人が永遠に変わる事なく、幸せに暮らせます事を、この剣に向かって祈りを捧げます」
拍手喝采でイノンドの祝辞が終わり、次はルリの友人代表としてロイが祝辞を述べます。
「僕ロイボス・リキュールは新婦のルリジサ・ボラージ君とは一年前に出会いました。既に特許権を取得している魔法と機械の融合による義手義足の研究をする為のパートナーを組んでいたのです。新郎のジンジャー・エールはモニター志願者として研究室を訪れて知り合いましたが、まさかこんな早くお二人がご結婚なされるとは思いもしませんでした」
ジンはロイを睨みつけながらイライラしています。
「ボラージ君はアカデミーではみんなのアイドルでした。僕にとっても女神のような存在でしたので、勇者と名高い新郎はボラージ君に相応しい相手なのでしょう。お二人の門出を心から祝福致します。皆さん、お手持ちのグラスで乾杯をしましょう」
席に着いていた参列客が立ち上がり、ワインが入ったグラスを片手に持ちます。
「では二人の幸福を祈って…乾杯!」
「乾杯ー!」
一斉にグラスを掲げてワインをグイッと飲みました。クレスは拍手をしながら、ジンに声をかけます。
「幸せにしてやれよ?」
「ああ、絶対に幸せにするよ?」
神父が最後に神への誓いの言葉を尋ねました。
「新郎ジンジャー・エール。汝は健やかなる時も病める時も新婦ルリジサ・ボラージを愛すると誓いますか?」
「誓います」
…つづく
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処女作の復刻版、第93話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。 | ||
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