左利きの魔剣士95
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ルリは少し大きくなりかけているお腹をさすりながら言いました。ジンの子供がいるのです。

 

「あっ、今蹴ったわ…」

 

「本当か?元気な赤ん坊だなぁ」

 

「私も早く産まれ過ぎたから大変だったみたいなのよ?本当は九月に生まれるはずだったのに七月に生まれて来ちゃって」

 

「ルリが九月生まれなら同級生だったのにな。俺は八月生まれだから」

 

「八月一日から学年が変わるものね。私は七月の終わり頃に生まれたから」

 

「一年が長く感じたよ。早く卒業しないと、ルリが他の男と結婚しちまわないか不安だった」

 

「今はこうしてジンと結婚して夫婦になってるんだから不思議よね。一年前の私には考えられなかったわ」

 

ジンとルリとイノンドとロイがセルフィーユに帰還します。イノンドは三人とは別れて家路を急ぎました。

 

「ただいま、戻りましたよ」

 

「遅かったわね?お土産は買って来たの」

 

「桜餅が出ていたのでもらって来ましたよ?」

 

ユーカリ姫は赤ん坊を抱っこしています。赤ん坊は桜餅を鷲掴みにして口に入れようとしました。

 

「あなたにはまだ早いわ?食べられないと思うけど…」

 

「あんこ…あんこ…あんこ」

 

「あっ、今初めて喋った気がする!」

 

「初めての言葉があんことは…!さすが姫さまのお子様ですな」

 

「あんたの子供でもあるんだけど?」

 

「姫さまがあんこにこだわりがあって、あんこのうんちくを語っているのを聞いて覚えてしまったようですね」

 

「だって!あんこの美味しさは粒が潰れるとなくなっちゃうんだもん」

 

「このあんこは粒がふっくらしていて美味しかったですよ」

 

おしまい

説明
左利きの魔剣士、最終話です。最後までご愛読いただき誠にありがとうございましたm(_ _)m
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