ダーリンはてのひらサイズ15 |
ショーンはテーブルのへりに腰掛けて足を伸ばして靴の裏を見せながら言いました。
「靴底を作るのは得意なんだ。人間の靴にそっくりだろ?」
「ええ、よく出来てるわね。ショーンがそんな器用だったなんて思ってなかったわ」
「人間に出来る事なら何だって出来るさ?むしろ人間より器用なくらいだから」
「小人の靴屋の童話でも、人間が作ったより素晴らしい靴を作っていた、と書かれていたわ」
「人間は大きな手で無理して小さな物を作ってるからなぁ。小さな手で大きな物を作ると、精巧な物が作れるんだよ」
「私の作った服は縫い目が荒くてごめんなさいね」
「ううん!アプリィが愛情込めて作ってくれただけで嬉しいから、着てるだけであったかい気持ちになる」
「ふふ、ハンドメイドの良さはそこよね。作ってくれた人の愛情が感じられるから。私も子供の頃にお母さんの編んでくれた、ポンポン付きの毛糸の帽子が大好きだったわ」
「買った服は知らない人が作ってるし、大量生産だから愛情も込められてない」
「うん、売ってるのは綺麗だけど、ハンドメイドほど気にいる物はないわね。でも私の作った物は買ってる物より安く売ってるわ」
「ハンドメイドの良さを知ってしまったら、買った物をもらっても嬉しいと感じなくなってしまうけどね」
「その価値がわかる人が少ないから。ハンドメイドは大量生産品より汚いと感じる人もいるそうよ…」
「なぜそう思うんだろうね?心を込めずに大量に作った物の方が綺麗だなんて、僕は全く思わないよ」
「他の人がみんなショーンみたいな考え方だと良いのだけど、他の人は心を込めずに作られた物を欲しがるの」
「僕は心のこもった物の方が遥かに価値があると思っているよ」
「私もショーンと同じ考え方よ」
「でも嫌いな人が作った物は持っているだけで嫌な気分になりそうだね…」
「確かに嫌いな人にもらった物は使いたくならないわね…」
…つづく
説明 | ||
昔、初投稿して落選した黒歴史の作品、第15話。 | ||
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