ダーリンはてのひらサイズ19 |
アプリィが連れて行かれた後に洞窟の前で巨人のアレクスが泣いていると、怪しい老婆が現れました。
「この薬を飲めばお前も人間みたいな姿になれるけど、タダではやれないねぇ。何かと交換出来るかい?」
「俺が人間になれたらアプリィも好きになってくれるかな…。交換出来るものと言っても、巨人の爪くらいか。硬くて加工すると良いナイフが出来るって人間は言うけど?」
「良い具合に爪が伸びてるじゃないか?この爪切りを貸してやるから自分で切るんだよ」
老婆は大きな爪切りを荷車に乗せて持って来ていました。アレクスが爪を切るとあちこちに飛び散ります。
「もっと丁寧に切りな!拾い集めるのも一苦労だよ?」
「わかった、わかった!飛び散らないように気をつけるよ」
巨人の爪を拾い集めて老婆はニヤリと笑いました。両手両足で爪の欠片は二十枚手に入ったのでした。
「まいどありー。これだけあれば薬を五本やれるよ?」
アレクスは一本だけ一気飲みして人間のサイズになると、残りの四本は洞窟の奥に隠して置きました。アプリィの家の呼び鈴を鳴らします。
「あら?どちら様でしょう」
「アプリィ!俺だよー」
「あなた…、もしかしてアレクスなの?」
「アプリィに会いたくて人間になれる薬を買ったんだ」
「あのお婆さんは神出鬼没ね。一体どこに住んでるのかしら?」
「多分、この山のどこかにいるんじゃねぇかなぁ」
「まあ、良いわ。せっかく来たんだから上がって行って。その格好では可哀想だから、服を作ってあげる」
アレクスは腰に布を巻いただけの姿でした。巨人の服を少し破いて巻いていたようです。ショーンは元の小人のサイズに戻っていましたが、アレクスが来たので慌てて巨人になれる薬を少しだけ飲んで人間のサイズになりましたが、アレクスよりかなり身長が低いので、三人で並ぶとまるで親子のように見えます。
「アレクスは身長が高いわねー。一体、何センチあるの?」
「巨人の時は十八メートルだったかなぁ」
「と言うことは百八十センチくらいかしらね」
「アプリィ!なんでこんな奴を家の中に入れたりしたんだ?」
「アレクスはお友達だからよ?」
…つづく
説明 | ||
昔、初投稿して落選した黒歴史の作品、第19話。 | ||
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