ダーリンはてのひらサイズ28 |
その日、小人の国でショーンのお葬式をしてもらいました。小人は死ぬと植物の種になるようです。その種を小人の国の樹に植えるとつぼみを付けて、その中から小人の赤ん坊が産まれてくるのです。
「この子がショーンの生まれ変わりなのね?」
「はい。この子は我々が責任を持って育てますので、あなたはもう家に帰ってください」
アプリィはショーンの生まれ変わりの赤ん坊に別れを告げると家に帰って、元のサイズに戻ってから老婆の家を訪ねました。老婆にショーンが亡くなった事を知らせます。老婆は哀しそうな表情で真実を語り始めました。
「わしは不老不死の薬を飲むと一日だけ寿命が延びるが、その為に売っていた薬は寿命を一年縮めてしまうんだよ?」
「と言う事はショーンはあと三年は生きられたかもしれないのね」
「小人の一年は人間の十年だから可哀想な事をしたね」
「私の寿命なんていくら縮んでも良かったから、ショーンには薬を飲ませなければ良かったわ…」
アプリィはまた真っ赤な涙の宝石をたくさんこぼしました。
「この宝石があればもっとたくさんの薬の材料が買えるね」
「薬なんてもう要りません。宝石もおばあさんに全部あげます」
「わしはずっと悩んでいたが、お嬢さんを見ていたら決心がついたよ?不老不死の薬なんかもう飲むべきじゃないとね…」
アプリィに宝石を渡すとその日、老婆はわざと不老不死の薬の小瓶を飲まずに静かに息を引き取りました。翌日、鍵もかけていなかった老婆の家で、アプリィは老婆が死んでいるのを見つけます。
「おばあさんまでどうして死んでしまったの?私がみんなを不幸にしているのね…」
巨人のアレクスの住んでいる洞窟の前に行くとアレクスは昔と変わらないままの姿で、アプリィを迎えてくれました。
「アプリィ、久しぶりだなぁ。ショーンは元気にしてるかい?」
「ショーンは死んだわ。あのおばあさんも死んでしまったの…」
「おったまげた!ショーンが死んじまったとはな。しかもあの婆さんまで死んだとは…」
「私のせいでみんな死んでしまうの?私が関わると人を不幸にしてしまう気がするわ…」
「そんな事はねぇ!俺はアプリィと逢えて幸せだったし、ショーンの奴も幸せに決まってる」
「あなたにはショーンの気持ちがわかるの?」
「ああ、わかるぜ?ショーンはアプリィと結婚して毎日幸せに暮らしてたって事はな!」
「そう…、アレクスがそう言うならきっとそうなのね」
…つづく
説明 | ||
昔、初投稿して落選した黒歴史の作品、第28話。 | ||
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