闇ビーストテイマー・ナタ20
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集合住宅の裏にある各家庭別のシェルターの鍵を開けて、アークのコレクションを見せてもらいました。蓄音機の置かれたテーブルの横にはレコードが棚に整然と並べられています。

 

「当時のレコードはプレミア付きだから、今は裏で高値がついてるのよ?」

 

「僕もレコード屋を探し回りましたが、どこにもアークのレコードは置いてなかったんです!聴いてみても良いですか?」

 

「オススメはこれね!デビュー作の『僕の大好きなアップルパイ』はファンの間でもかなり評価が高いの」

 

少し劣化しているレコードの音でも、アークの綺麗な歌声は忠実に再現されていました。アークがノリノリで、リュートをかき鳴らしているのがビンビンと伝わって来ます。

 

「思っていたより明るい歌詞ですね!こんな明るい曲を歌ってたなんて知らなかった…」

 

「海賊版もあるのだけど、これはオリジナルだからアーク様のサイン入りなの。プレミアで軽く数十万…いえ、数百万は値がついてるわね」

 

「こんなものがここにあるのを騎士団に見つかったりしたら大変ですね」

 

「押収されちゃったファンの子も多いらしいから気をつけてるんだけど」

 

「高値で取引されてるならいっその事、売ってしまった方が気がラクになりませんか?」

 

「アーク様のコレクションを売るなんてとんでもない!一度手放したりしたら…もう二度と手に入らなくなるじゃない?」

 

「そんなに貴重な物を聴かせていただいて、ありがとうございます!」

 

「また聴きたくなったら、いつでも来て良いからね?アーク様にそっくりで本当に可愛い子だわ」

 

それから何度かミッシェルの家に通うようになりました。サルバドールが大体、一緒に来ていたのですが、この日はルークだけで現れたのです。

 

「あの…、ルーク君。こんな事を言ったら、変に思われるかもしれないけど、私まだルーク君の事が好きなの」

 

「お母さんが許してくれないと思うよ?こんな子供と付き合うなんて」

 

「頭ではわかってるんだけど、私の中ではあなたは大人の男性で、子供の姿のあなたを見ても気持ちが冷めなかったの…」

 

「歌詞を覚えてしまったから、歌えそうだけど見つかったら、騎士団にしょっ引かれるね?」

 

「子供なら注意を受けるだけで済むかも?大人がやったら罰金を取られるわ…」

 

「ここで少し…歌ってみても良いかな?」

 

「ええ、ここなら外に音は漏れないから大丈夫よ」

 

…つづく

説明
どうしても書きたくて書いた裏の続き、第20話。
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