聖ビーストテイマー・ナタ34
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いつもよりローラが密着して座って来たので、ルークは思わずドキッとします。

 

「あなた、お名前は?」

 

「名前はルー…、あっ…!えーと…」

 

「ルの付く名前?よく聞き取れなかった」

 

ルークは余計な事を言って正体がバレないか不安になって、黙りこくってしまいました。

 

「失語症なのかな?何か怖い事があると喋れなくなる事があるって、お母さんが言ってたわ」

 

「この子も痴漢にあったから、ここに来たのかもねー」

 

食事休憩が終わって軽く打ち込みをまた始めます。

 

「あなたもやってみる?入部希望なんでしょ」

 

「僕は体術は苦手だから…」

 

「今、僕って言った?」

 

「あっ…!間違えた…」

 

「女の子なのに僕って、なんか可愛い!」

 

バレたかと思いましたが、どうやらまだバレていないようでした。訓練場の更衣室で運動着に着替えさせられて、ローラが手取り足取り教えてくれます。

 

「あ、あの…。せ、背中に胸が当たってる…」

 

「最初は恥ずかしいかもしれないけど、すぐに慣れてくるよー」

 

ルークは隙を見て、ローラの飲んでいたスポーツドリンクの入ったボトルの中に、何かを投入しました。ローラがそれを飲もうと掴みます。

 

「あっ!やっぱりダメ」

 

ローラの手から慌ててボトルを奪い返します。

 

「もしかしてそれ飲みたいの?飲んでも良いよー」

 

ローラがさっきまで飲んでいたストローが、ボトルに挿さっています。

 

「飲まないなら、返して?喉がカラカラなの」

 

ルークはストローを取って、ボトルの中身を一気に飲み干すと、手で目を覆い隠して走り去りました。

 

「変な子…。そんなにこのスポーツドリンクが美味しかったのかな?」

 

ルークにも心眼があるので目を隠していても、人とぶつからずに歩けます。

 

「ううっ…、まずい…。もし目を開けたら、最初に目の合った相手に惚れてしまう」

 

「どうかしましたか?君、泣いてるの…」

 

…つづく

説明
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第34話。
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