聖ビーストテイマー・ナタ64
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ゲイザーはアラヴェスタに用があってマルヴェールの出入口の洞窟の前に来ていました。

 

「強力な結界が張ってあるな…。一体、誰の仕業だ?」

 

剣で少し叩いてみましたが、結界はビクともしません。

 

「これを解除できるのは…。あのお方に頼むしかない」

 

ゲイザーは懐から占い師ミケーラのカードを取り出しました。召喚すると黒髪で浅黒い肌の妖艶な女が目の前に現れます。

 

「ミカエル様、最近妻の機嫌が悪くて召喚できず申し訳ありません…」

 

「ふふ、気にしなくて良いですよ?カードの中は時間の経過がありませんし、待つのは慣れているのです」

 

「この結界なんですが、破り方がわからなくて困っていました」

 

「これは…ダイヤル式の結界ですね」

 

「ダイヤル式…と言いますと?」

 

「暗証番号があって入力すると解除される結界ですよ」

 

「暗証番号はわかりますか?ここを通れないと困るんです」

 

「うーん、これはナターシャの持ってる宝石箱と同じタイプの解除法なのですが、ナターシャの宝石箱は一万桁ほどでした。しかしこれはその一万倍ですよ」

 

「一万の一万倍と言うことは…一億と言う事でしょうか?」

 

「一万の鍵が一万個かけられていて、最初の一個目の暗証番号は…。ん?これは…もしかしたら…続き番号になってるのかしら…。私の予測で行けるか試してみますね」

 

ミケーラが手をかざすとスーッと結界は消えてなくなりました。折り重なるようにかけられている次の結界も消えて行きます。

 

「流石ミカエル様です。一体、どんな暗証番号だったのですか?」

 

「最初の鍵の暗証番号の三桁だけが見えている状態でした。それは三・一・四です」

 

「三・一・四…円周率ですか?」

 

「ええ、一億桁の円周率でした」

 

「こんな結界を簡単に解けるのはミカエル様しかいませんよ?」

 

「円周率なら簡単に解けるので、意味のない乱数の羅列の方が暗証番号を解くのが難しいですよ」

 

…つづく

説明
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第64話。
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