聖ビーストテイマー・ナタ143
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翌朝は休日だったので、ルークはゲイザーにもらった手付金の一万ジェニーで材料を買って来ました。家に帰ってピラミッド型の針金の枠の中に魔法石を置いて、極細の彫刻刀で細心の注意を払いながら印を刻んでいきます。ピラミッド型の針金の中はマナを溜め込んで怪しく輝いていました。作業が終わるとナタが話しかけてきます。

 

「ものすごい集中力ね…。そんな小さな文字を刻印するなんて、私には出来ないわ」

 

「ちょっとでも気を抜くと失敗してやり直しだから魔法石を無駄にしてしまうんだよ?」

 

「普通の結界石より文字数が多いわね?」

 

「うん、普通の結界石はもっと単純な印しか刻んでないから、文字の彫り方も荒いよ?」

 

「一文字でも失敗したらやり直しになるんじゃこんな長文は彫りたくないでしょうね…」

 

「そうだね、大体相場は一文字五十万ジェニーとかじゃない?」

 

「お手頃な価格の結界石は十五文字で五百万くらいだったかしら?五文字以内の安物なら百万くらいでも見た事あるわよ」

 

「五文字程度じゃ本当にショボい結界しか張れないと思う。気休め程度のお守りだね…」

 

「これは何文字あるのよ?」

 

「うーん、三百文字くらいかな。数えてないからわかんないや」

 

「文字が小さすぎて顕微鏡でもないと読めないわね…」

 

ルークは完成した結界石を持って、マルヴェールのゲイザーの執務室に行きました。

 

「もう出来たのか?仕事が速いな…」

 

「うん、でも無資格の僕がおじさんにこんな高い物売り付けても良いのかなぁ」

 

「売り付けると言う言葉遣いはやめなさい。納品すると言うんだよ?」

 

「じゃあ納品します!」

 

「うむ、確かに受け取った。毎月私の口座から君の口座に三万振り込まれるように手続きはしておいたよ」

 

「えへへ、まさか自分の作った物がこんな風に売れるなんて思ってなかった!」

 

「君には結界師の才能があるんだ。もっと自信を持ちなさい?」

 

…つづく

説明
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第143話。
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