聖ビーストテイマー・ナタ164
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ところが初見の客は目の上に置かれたタオルを勝手に取ってしまいました。

 

「おいおい、目は隠さないでくれよー?」

 

「目に泡が入らないようにタオルをしないと」

 

「顔剃りはこのままでやってくれないか?せっかく目の保養に来たのに、目を隠されたら意味がない」

 

「えっ!ううっ…、わかりました。でも泡が目に入って痛かったら言ってくださいね?」

 

仕事なのでひっぱたきたいのを必死に堪えて接客をします。泡が目に入らないように慎重にカミソリを動かしていました。

 

「あー、気持ち良いねぇ?良い手付きだ」

 

「そうですか?ありがとうございます!」

 

「下の方の毛もお願いしたいところだね」

 

「そっちの毛の処理は当店ではやっておりませんので」

 

こんな調子で嫌な客の相手を何人もこなして、ナタは疲れてしまいました。

 

「はぁ…、あんな雑誌のインタビューなんて受けるんじゃなかったな。昨日まではこんな嫌な客は来なかったのに!」

 

ルークはアカデミーが終わった後、マルヴェールのフラウの執務室を訪ねました。ゲイザーの描いた肖像画が飾られています。

 

「わぁ、すごい!おじさんにこんな才能があったなんて…」

 

「ふふ、良い絵でしょう?お気に入りなのよ」

 

「僕もおじさんに頼んでローラの絵を描いてもらおうかな?僕の部屋に飾りたいんだ!」

 

「アウローラの絵なら邸の倉庫にたくさんあるわよ?確かスケッチブックに描いてらして…」

 

「本当に!倉庫の中を探しても良いですか?」

 

「ええ、構わないわよ。でも持ち帰るならゲイザー様にも許可を得てからにしてね」

 

ルークはその足でゲイザーの執務室も訪ねました。

 

「アウローラの絵か…。幼かった頃のものが多いが、最近は嫌がって描かせてくれないんだ」

 

「えーっ、最近の絵が欲しいんだけど…」

 

「うむ、アウローラを説得しないとモデルにはなりたがらないだろうね…」

 

…つづく

説明
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第164話。
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