聖ビーストテイマー・ナタ181
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二千五十年前。ルシファーが壁を殴ってヒビが入っている部分をミカエルが見つめています。

 

「リリスが死んでしまったとは…。やはり監視は付けておくべきでしたね」

 

「ミカエル様、下級天使がリリスの遺体を回収して持ち帰っています」

 

「遺体を見せてください。何か真相がわかるかもしれません…」

 

ミカエルは秘書のガブリエルと一緒に、リリスの遺体が運び込まれた安置室に来ました。

 

「ん?首に縄の跡がありますね」

 

「報告によると離れの小屋で首を吊っていたようです。ルシフェル様が人工呼吸を行った形跡がありますが、死亡推定時刻はそれより一刻前でした」

 

「首を吊っていたなら、この角度に縄の跡が残るのはおかしくありませんか?」

 

「おそらくは何者かの手によって絞殺された後に吊るされたものではないかと」

 

「リリスは殺害されたと言う事ですか?」

 

「ただこの件はこれ以上、調査しなくて良いと上の者から言われておりまして」

 

「もし殺害されたのならば、その者を見つけ出して罰しなくてはなりません…」

 

「他殺の件はルシフェル様の耳に入れるなと、上の者からは釘を刺されております」

 

「そうですか。ではこのファイルは背表紙を差し替えた方が良いかもしれませんね」

 

「わざわざ背表紙を差し替えると言うのはなぜです?」

 

「万が一の為です。私の書斎にルシフェルが入った時に、これが目に留まるとまずい…」

 

「わかりました。背表紙のリリスの名を別の名に差し替えて保管しておきます」

 

「ええ、お願いします。ガブリエル」

 

「ルシフェル様が変な気を起こさなければ良いのですが…」

 

「リリスを殺してはいけなかったのです。ルシフェルの暴走を止められる唯一の存在なのだから」

 

…つづく

説明
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第181話。
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