ゲイザーは特に何も言わずに二人の結婚を認めたのでトントン拍子に挙式の準備も進みます。ウェディングドレスを着たローラの肖像画を描いてゲイザーがプレゼントしたので、狭い新居には大きな額縁の絵が飾られていました。

「やっとこの日が来たね…」

「うん…。もう覚悟は出来てるよ？」

ルークとローラが初めて結ばれてる頃、ナタとアークもイチャイチャしていました。

「ルークがいなくなって寂しくなったから、もう一人作ってしまおうか？」

「そうね…。今年でルークも卒業だし、すぐに就職してくれたら手もかからなくなるわ」

「それじゃ、今夜は寝かせないよ？」

「ふふ、孫と二人目の子供が同級生になっちゃうかもね？」

その時でした。ナタの脳裏にゲイザーが倒れる姿が一瞬だけ見えたのです。

「どうしたんだ？ナタ。顔色が悪いが…」

「おじさんが…死んだ」

ゲイザー邸のリビングで待っていたリリムが突然立ち上がって風呂のドアを開けました。フラウが慌てて止めに行きます。

「ダメよ？リリム。ゲイザー様がまだ入っているのに」

「勇者様が…！風呂で倒れてるのよぉ？」

「えっ！どう言う事？」

「もう寿命がヤバいのはわかってたんだけど、勇者様が死んでさっき使い魔の契約が解除されちゃった…」

フラウは倒れているゲイザーに人工呼吸を施しましたが、目を覚ます事はありませんでした。

「嫌ッ！死なないで…。ゲイザー様」

「ついさっきまでおじさまは元気にしておられたのに…。こんな唐突な事ってあるの？」

ジュリーもショックを受けています。フラウが呆然としていると書斎からミカエルがやって来ました。

「勇者ゲイザーが亡くなったので天界に戻ります」

「ミカエル様！ゲイザー様を生き還らせてください…」

「天寿を全うしたので蘇生はできません」

「そんな！酷過ぎる…」

…つづく