聖ビーストテイマー・ナタ186
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ナタの三十五歳の誕生日が来ました。ユリアーノの妖精の粉抽出法を記録する為に、ゲイザーの作った暗号を探して書斎の金庫を開けます。

 

「これがゲイザー様の金庫に入っていたのよ」

 

「何これ…。タイトルは『ビーストテイマー・ナタ』って書いてあるけど」

 

「どうやらナターシャちゃんと冒険してた頃の記録みたいね?」

 

「あー!私の黒歴史がこんなに詳しく…」

 

「でも未完で終わってるのよ?原稿用紙は千枚を超えていたんだけど」

 

「て言うか、なんで未来の事まで書いてあるわけ?おじさんの死んだ後の話まで載ってる…」

 

「これってもしかしてゲイザー様の遺言書なんじゃない?私もまだ全部は目を通してないのだけど、最後の方のリリムと言霊で話してるシーンは私の為に書いたのだと感じたわ」

 

「おじさんの視点でしか書かれてないから、足りない部分は加筆しないとダメね…」

 

「そうね。未完の長編大作だから、私たちで加筆して完成させましょう?」

 

「この小説の続きだとおじさんはローラの子供に生まれ変わる事になってるけど?」

 

「本当にそうだったら嬉しいのだけど…」

 

ナタはゲイザーの作った暗号を解読する事にしました。

 

「おじさん、随分と複雑な暗号にしてくれてるわね…」

 

「わかりそう?私にはサッパリわかんないわ」

 

「うん、暗号が誰にでも簡単に解けたら困るからわざと難しくしたんだと思う」

 

試行錯誤して暗号を解いて、妖精の国のティターニアに頼みに行くと、アークの家でフラウは長寿の薬を調合しました。調合が終わるとさっさと帰ってしまいます。

 

「ねぇ、これ…どうしても飲まなきゃダメ?」

 

「飲まないとナタは三十六歳で死んでしまうんだよ?」

 

いつものように飲むのを渋っているナタに、アークが飲むように促します。

 

「飲まなかったらおじさんのところへ行けるのかな?って思っちゃって…」

 

「ナタは僕よりゲイザーの方が大事なのか?」

 

…つづく

説明
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第186話。
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