聖ビーストテイマー・ナタ223 |
ミカエルは原稿の裏側のサインを鑑定します。
「確かにこれは勇者ゲイザーの筆跡ですね?」
「そこに全て書いてある。僕が総帥になって魔物を説得するとね。僕はゲイザーの指示通り動いていただけだ」
「この原稿は途中で終わっているように見えるのですが…」
「千枚以上あったからな。全部は持ち歩いていないんだ…」
「そうですか…。しかし勇者ゲイザーが死後の話を生前に書いていたとは思いませんでした」
「驚くほどの的中率だよ?お前の予測演算能力を遥かに超えているんじゃないか…」
「私の予測は過去の数値を見て判断していますので、九割以上の確率でこうなるであろうと言う予測は可能なのですが、勇者ゲイザーは残りの一割未満の確率を予測しているのです。残念ながら私にはそれが予測出来ません」
「天界の連中の予測の仕方はこうだ。先に相手を殴って殴り返して来たら、ほら殴ると思ったと得意げに言う。当たり前の事だろう?」
「確かに上の者のやり方はそのような方法が多かった気はしますね…」
「ゲイザーの予測の仕方は逆だ。殴られても殴り返さない。なぜ殴り返さないのかと問えば、殴り返せば最初に殴った事を正当化するのだろう、と予測されてしまうんだ…」
「暴力を暴力で解決しようとしても、新たな憎しみを産むだけでしょうね」
「お前はいつも中立を保っているが、それはどちらからも信頼されない。天界の者はお前を疑っているし、僕もお前には心を開く気はない」
「勇者ゲイザーは私の事もあなたの事も信頼していました」
「奴はバカが付くほどのお人よしだからな?そのせいで自分が殺された事もあるのに、まだ人間を救おうとしている」
「転生後も勇者として人々を正しい道に導く事でしょう。今はまだ幼いですが、大人になれば必ず…」
「僕のように何かの拍子で記憶が戻らなければ良いが…。普通の人間なら精神が崩壊してしまうよ?」
「勇者ゲイザーの精神力ならば耐えられると思います」
「奴は本当にただの人間なのか?人間とは思えないよ」
…つづく
説明 | ||
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第223話。 | ||
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