聖ビーストテイマー・ナタ278
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パタパタとコウモリの翼を羽ばたかせながら、ゲイザーは部屋の中を飛び回っています。

 

「私の書いたシナリオ?ああ、もしかしてちょっと暇つぶしに書いていた、アーク殿が総帥になった話を考えてみたあの原稿の事かな」

 

「ルークのお父さんが恐怖の的中率だ!とか言って、このシナリオ通りに動いてみようってルークに言ったらしいの」

 

「軽いジョークのつもりで書いたのだが…。まさかアーク殿が実行に移すとは思わなかった」

 

「じゃあオチとか特に考えてなかったんだ?」

 

「うーん、行き詰まって放置していたから、すっかり忘れていたよ?」

 

「無責任な事しないでよ?ルークは昨日めちゃくちゃ悩んでたんだからね」

 

「すまない…。こんな事になるとは思っていなかったんだ」

 

「ルークはおじさんの意図を読み取る!とか言って原稿を分析して、なんかすごいことになってるし」

 

「この書類の山がそうかな?私が全く考えてもいなかった事まで…。こんな深い意味があって書いたわけではないよ」

 

ゲイザーの書いたシナリオをタイプライターで丸写しした書類と、その文字列を暗号化して分析したと思われる手書きのメモが散乱しています。

 

「そんな事お父さんに言われたらルークもショック受けるから聞かせたくないよ。ルークはお父さんを尊敬してるみたいなの」

 

「私は大した事ない人間なのだが、アーク殿も大げさに褒めちぎる事があるんだ。ルークもアーク殿と思考パターンが似ているからな」

 

「でもスノーを助ける話は驚くほど一致してたらしいのよ?どうしてスノーの事が死ぬ前にわかってたの」

 

「ふむ、適当に書いたものが偶然、事実と一致したのだろうな。偶然とは恐ろしいものだ…」

 

「お父さんは何も考えてないフリして、実はすごく計算してるって、ルークは言ってたよ?」

 

「残念ながら本当に計算などしていなかったんだ」

 

「ルークが元に戻るのは薬を飲んで二十四時間後だから、それまでにお父さんの記憶を消さないと…」

 

「試験開始時間は十時だから、九時過ぎには元に戻さないとな」

 

「はぁ…、ルークは今頃どうしてるんだろ?」

 

…つづく

説明
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第278話。
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