聖ビーストテイマー・ナタ283 |
「フリをしていたわけではなくて、本当に赤ん坊なんですが…」
「黙れ!貴様の記憶が戻ったら殺してやろうと思っていたんだ」
アークの髪の色が漆黒に染まって行きました。バチバチと黒い稲妻がアークの全身を迸っています。怒りに我を忘れているようでした。
「やめてください!お義父さん」
「お義父さん?ああ、そう言えばゲイザーは僕の孫だったな…。うっかり忘れていたよ」
「そんな大切な事うっかり忘れないで…」
「危ないところだった…。こんな赤ん坊を殺したらナタに離縁されてしまう…」
「ナタお姉さんだけじゃなくてルークも怒りますよ?」
「うむ、最近あまり寝ていなくて少しイライラしていたんだ。すまない…」
「寝ないで仕事してるってナタお姉さんも心配してました」
「あの書類の山を見てくれ。あれに全部目を通して判を捺さなきゃならない…」
「すごい書類の山ですね。何千枚あるのかな」
「ロクに読みもせず判を捺すと、僕の意にそぐわない内容を僕が承認した事になるから、手を抜けないんだ…」
「総帥の仕事って大変なんですね…」
「しかも無駄に改行が多くて枚数を増やされてるから速読も出来ない。嫌がらせとしか思えないよ?」
「ミカエル様を呼びに天界に行って来てはくれまいか?私の記憶を消さないとまずい…」
「天界に行くのはどんなに急いでも往復三時間かかるのに、僕がそんな事をしてたら、この仕事が明日の朝までに片付かないじゃないか?」
「判を捺すだけならアウローラにも出来るし、内容は私が確認しておく。私の翼では長距離飛行は難しいし、天界までの道がわからない…」
「これはお前に貸を作れるチャンスだな。記憶は消えるだろうが、お前に貸を作れるのは僕には大きなメリットではある」
…つづく
説明 | ||
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第283話。 | ||
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