聖ビーストテイマー・ナタ284
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赤ん坊のゲイザーは顎に手を当てるポーズを取って、書類とにらめっこしています。ゲイザーがオーケーを出すとローラは判を捺しました。

 

「なんだか難しそうな事が書いてあるのね?」

 

「これは…!チケットの転売問題も魔術師連盟が絡んでいたとは…。ゴロツキを雇ってチケットを売らせていたから、騎士団は黒幕を捕まえられずに困っていたんだよ」

 

「魔術師連盟って悪い事ばかりしてるんだ?」

 

「ゴロツキに知恵を与えて実行に移させる。尻尾を掴まれたらトカゲの尻尾切りでゴロツキを捕まえさせて、黒幕は逃げ果せていたのさ?」

 

「そうなんだ…。じゃあこの書類には判を捺さない方が良いのかな?」

 

「判を捺さない場合は改善策を書類にまとめて出さないとダメなんだよ?だから大抵の無能な上官はロクに確かめもせずに判を捺すだけなんだ」

 

「お義父さんはちゃんとやってたんだよね?」

 

「アーク殿のように隅々まで目を光らせてから判を捺す上官は寝る暇もなくなる。テオドールもほとんど寝ていないとぼやいていたからな」

 

「そっかぁ。偉い人も頑張ってるんだね」

 

「頑張っていない上官の不正が明るみに出ると頑張っている上官まで悪く言われるのが悲しいところだけどね」

 

「それだと頑張る気もなくなっちゃうよね…」

 

「ああ、だからアーク殿は議長をやめたんだ」

 

「そうだったんだ。給料が良いのになんでやめたんだろ?ってルークとよく話してたの」

 

「給料が良いのはそれだけの責任が伴うんだ。責任を果たせずに金儲けだけに走ると、いずれ不正が暴かれて破滅する事になる…」

 

ゲイザーが口頭で伝えた内容をローラがタイプライターで打ち込みますが、誤字脱字を連発してしまいました。

 

「ううっ…タイプライター苦手なんだよ」

 

「うーむ、この小さな手ではタイプライターは打てそうもないから、これは後回しにしよう」

 

「後回しにする時はこっちの判子だっけ?ピーってどう言う意味なの」

 

「ペンディングの頭文字だ。保留すると言う意味だよ」

 

…つづく

説明
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第284話。
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