【DDON】一つの答え【オリジナル小説】 |
「此処に居たんですね。」
城塞都市メガド居住区。
女性覚者ーアヤは目的の人物を見つけ声をかける。
アヤの声に気づき、フードを目深く被った青年が振り返る。
「バジットさんが探してましたよ。メフィスさんが居ないと進まない案件があるとかで」
青年ーーメフィスと目が合い、アヤは微笑む。
「ああ、直ぐに戻る。」
アヤの笑みにメフィスの表情も柔らかくなる。
緩く吹く風がアヤの髪をなびかせる。
なびく髪の美しさにメフィスは見惚れ、思わず指で掬い取る。
「なぁ…覚者」
掬い取ったアヤの髪に指を絡める。
「俺のやった事は…正しかったんだよな?」
絡めた髪を梳かせば、メフィスの指をするりと撫でる。
絹のような心地良い感触にメフィスは再びアヤの髪に指を絡ませる。
「やっぱり…迷ってたんですね」
髪に触れるメフィスの指を心地良く思いなら、アヤは寂しげなメフィスの瞳を見つめる。
『自分を育ててくれた前当主の仇討ち』
伯爵邸に乗り込む前、メフィスが話したレジスタンスを立ち上げた本当の目的。
『俺たちが勝ったーーだから正しいのは俺たちなんだ』
ナヴィドを追い詰めた時のメフィスの言葉。
アヤには彼が迷う自分に言い聞かせる為の言葉に聞こえた。
「本当に…これでよかったんだろうか…」
アヤの髪がなびき、自分の指から逃げるのを見つめメフィスは軽く拳を握る。
アヤは言葉が出ず、メフィスの迷う瞳を受け止めるしか出来なかった。
2人の沈黙をかき消すように、夕刻を告げる時計塔の鐘が鳴り響く。
「答えになるかわかりませんが…」
ゆっくりとアヤは言葉を繋ぐ。
「確かにナヴィド伯爵の行動は、守る為の行動としては正解だったのかもしれません。但しそれは仮初めの平和。オーク達が裏切れば一瞬で崩れてしまう。遅かれ早かれ誰かが気づいて行動を起こしていたとおもいます。」
「かといって人の心を一つにして導くのは容易に出来る事ではありません。自分の命を他人に預けるのは…王政に反旗をひるがえす事自体、相当の覚悟が必要です。」
アヤの瞳が真っ直ぐにメフィスを捕らえる。
「皆貴方の強さと優しさに惹かれて、付いて来たんです。貴方ならメガドを救える、変えられると信じて。貴方だから勝てた。私はそう思ってます。」
真っ直ぐと自分を捕えるアヤの瞳を、メフィスは逸らす事なく受け止める。
「相棒…」
暫く視線を交わした後、メフィスは微笑み
「ありがとな」
アヤの頭を軽く撫でる。
フードで表情こそ見えないが、彼が照れている事をアヤは容易に理解した。
「そろそろ戻るぞ」
アヤの方を見ず、メフィスはゆっくりと歩き出す。
「はい」
歩き出したメフィスの隣に並び、アヤも歩き出す。
「大丈夫。これからのメガドはきっと素敵なものになりますよ」
アヤの言葉に、メフィスは微笑みだけを返した。
Fin…
おまけ
「しかしナヴィドを追い詰めた時のお前…凄かったな」
その時の事を思い出し、メフィスは笑いを堪え切れず肩を震わせる。
「あの時はその…気分が高まり過ぎて…もう…忘れてください。恥ずかしい…」
『もうこれ以上悪い事はさせないんだから!』
説明 | ||
メフィスさんのサブストーリーの後日談を書いてみました(o'∀'o) | ||
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