真・恋姫†無双 金属の歯車 第二話 |
「で、本当の兵士はいったい何人ぐらい連れてきてくれているんだ?」
「ぎくっ」
第二話 劉備出陣 〜Sister〜
公孫賛・・・もう白蓮と呼ぶべきか・・・は実にいい人だ。これまた女性というのにまた驚いたが、友の友ということで真名を許してもらえた。
ただこちらの考えはお見通しだった。
「済まない。私の提案だったんだ」
桃香の頭をぽんぽんと撫でたあと頭を下げる。
「そうか。いや、気にはしていないからいいさ。私だって、桃香と同じ状況なら、そういう作戦を立てたと思う。で、何人だ?」
緩衝材を混ぜない一言に思わず視線をずらす。
「え、えーっと・・・その・・・あのね。実は一人もいないんだ」
「へっ?」
「優秀な将なら二人。それなりに作戦立案できるのが一人だ」
「二人って後ろの二人のことか?」
釣られて後ろを振り返る。愛紗と鈴々のほかに着物に似た服装の女性と目が合い、何故かウインクされる。適当に会釈をしておく。
「我が名は関羽。字は雲長。桃香様の第一の矛にして幽州の青龍刀。以後、お見知りおきを」
「鈴々は張飛なのだ!すっごく強いのだ!」
「宜しく頼む、と言いたいところだが・・・二人の力量がわからん。どうなんだ、桃香?」
白蓮の顔が桃香の方に向く。
「そっちに聞くより・・・腕の立つあちらに聞いた方がわかると思うぞ」
そういって先ほど目があったの女性を顎で指す。
「人を見抜けと教えた伯珪殿が、その二人の力量を見抜けないのでは話になりませんな。それにくらべ・・・そちらの天の御遣い殿はそれを備えていると見える」
「そういわれると返す言葉もないが、ならば趙雲はこの二人の力量がわかるとでも言うのか?」
「当然。ですな?天の御遣い殿」
「突然に対処しやすいように足がちょっと開いてたり、広間に入る時、逃げ場や障害物を配置を頭に入れておく・・・なんかでな」
ほー、と感心したように声を出す白蓮。趙雲と呼ばれた女性は感心したように首を縦に振る。
「そういうならば、確かに腕が立つのだろうな」
「趙雲殿も腕が立つと見えるが・・・」
「鈴々もそう思うのだ!」
白蓮の言葉を返すように、愛紗と鈴々が趙雲を評価する。だが一刀はあちらの世界の知識でどれだけの人物か知っている。
(常山の趙子龍も・・・か)
「ほう・・・天の御遣い殿はなかなか油断のならぬ人のようだ」
どうやら口にでていたらしい。苦虫をかんだように顔を若干ゆがめる。
「我が字をいつお知りになった?」
「どっかの口から漏れてたんだろうさ」
「ふふふ・・・どうやら本物のようだ」
趙雲が妖艶にほほえむ。どうやらおもちゃを見つけたらしい。
「本物の定義がわからんな。だが信じている人がいるから本物で居たいとは思う」
「それになかなかの器量のようだ」
「おいおい、私を捨てて北郷の下にはいるというんじゃないだろうな、星」
「さてさて。・・・今のところは」
妙に含みのある言葉を残しその場を去っていった。
* *
「すごーい!この人たち全員、白蓮ちゃんの兵隊さんなのー?」
「正規兵半分、義勇兵半分・・・といったところか」
「・・・こんなにもか」
「それだけ、大陸の情勢が混沌とし、皆の心に危機感が出ているということでしょう」
微動だにしない兵達は圧巻だった。
「少なくともこの国は間違った方向に行こうとしている」
「間違った方向にはいかせやしないさ。・・・この私がな」
そう答えてくれた趙雲の目は真剣な光を宿していた。
桃香達が女性ということは、この世界は「あちらの世界」と違う歴史を歩んでいるはず。
知っている知識と同じ歴史を歩み出しているのを止めれないのは歯がゆい。
(・・・傍観者であるべきか・・・それとも)
横でなにやら楽しい会話が聞こえてくる。その様子をみて彼女たちにどこか頼もしさを感じた。
「今は・・・生きるために成すべき事を成すか」
* *
公孫賛の演説も終わり、左翼を任された桃香たちご一行は盗賊達を眼下におさめていた。
趙雲は真名である星を、公孫賛は白蓮を自分達に託し、共に戦うことを誓ってくれた。
「ご主人様」
「どうした、愛紗?」
あちらの世界で乗馬を経験していた分、すぐに乗ることが出来た。だが尻が痛むので馬の頭を返さず、顔を向ける。
「ご主人様は・・・武芸の嗜みがおありで?」
「この世界ではあまり役に立たないのがな。心配するな、自分の身一つなら守れる」
どっちの世界でも怪しい格好だったので、羽織のような衣類に身を包んでいる。
その下には、胸と左腰には大型の小刀、切れ味は劣るものの両足には小さい小刀が仕込んである。それと腰には白蓮からもらった剣があった。
「人を・・・傷つけた経験は?」
「・・・悪い方に考えてくれ」
少し軽い口調で、嘘を言ってますという雰囲気で返した。
「それでいいのです」
「天の世界には戦争はなかったの?」
横から桃香が話しかけてくる。
「少なくともここ二十年以上、大きな戦争はなかったよ。だが私の知らないところでかなりの血が流れている。あっちの世界も・・・この世界も」
とある軍事請負企業が蹶起したのは自分が生まれるちょっと後だったはず。しかしその間にも紛争は続いているはずだ。
「あっちの世界のほうが酷いものだ。戦争経済という単語があったくらい・・・すべての人間が戦争生活者といってもおかしくなかったくらいだ。政治屋が私腹を肥やすために戦争を起こし、傭兵たちが代理戦争を行う。戦争が激化するたびに戦争価格は上昇し、投資家達はそれに金をつぎ込んでいく」
ふと横を見ると桃香が頭を抱え、愛紗は首をかしげている。
「す、すまん。難しかったか?」
「む、難しい・・・」
「わからない単語の羅列で・・・どれだけ酷いのかは想像が付きました」
「とりあえず悪い方に考えろ。持てる力をすべてつぎ込め。一瞬の躊躇もなく、一瞬の油断もするな」
伝令が入る。どうやら盗賊達が突撃してきたらしい。
「さもなくば死ぬ。それだけわかっていれば今は十分だ」
* *
おまけ
鈴々「あ、お兄ちゃん!お猿さんがいるよ!」
桃香「ホントだ、お猿さんだねぇ」
鈴々「捕まえてみるのだ!」
愛紗「こら、鈴々。あぶないぞ!」
鈴々「見て〜、お兄ちゃん。お猿さん捕まえたよ!・・・お兄ちゃん?」
一刀「げ・・・ゲッチュ!」
姉妹「・・・」
一刀「・・・」
説明 | ||
この物語について ・真・恋姫†無双をベースにとある作品の設定を使用しています。クロスオーバーになるのかな?まあ混ぜている作品は題名でわかるよね。 ・クロスオーバーが苦手な方には本当におすすめできない。 ・俺の◯GSを汚すんじゃねぇって方もリアルにお勧めできない。 ・ちなみにその設定は話の本筋にはあんまり関係ありません。 ・ならその設定を使うなよ。 ・オリジナル主人公は三人いますが、蜀ルートが元になっています。 ・過度な期待どころか、普通の期待もしないでください。二次創作を書くのは初めてです。 ・ゲーム版主人公の北郷一刀くんは登場しません。同姓同名の人間は登場します。 |
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コメント | ||
>jackryさん。ありがとうございます、がんばります。>ブックマンさん、事実上ネタバレですw(しがない書き手) ここにもいたかw(ブックマン) >ティリさん そこは愛紗の台詞ですね。誰でもわかるようにちょっと付け足します。(しがない書き手) 1p 趙雲殿も腕が立つと見えるが・・・→子龍殿も〜 にしないと後の星の言葉に繋がりませんよー(ティリ) |
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