連載小説5 |
帰りの動中にて、私は楓としゃべっていた。
高校までの道のりは
家と最寄り駅を十分。
電車で二十分。
そっから歩いて十五分。
決して近くはないけど、通学の動中を楽しむのも、
また高校生活の醍醐味だよねっ!
同じ中学だった以上、楓は最寄り駅までずっと一緒だ。
当然、話は尽きない。
が、初日の帰り、電車の中での話題はなぜか木谷さんの事だった…
「さっきの彼女、木谷さんて言ったっけ」
「うん」
木谷さんがどうしたって言うんだろう。
「あの子、どういうきっかけで仲良くなったの?」
「え?」
なれそめ? まさか、嫉妬してくれてる? あらあら、楓さんたら、
意外とかわいい所があるじゃないの。
「この、私の髪を! コンプレックスだったこの前髪を! 素敵だって、
そう言ってくれたの〜♪」
「ほう。お世辞が上手なのか」
なぬっ!
「お世辞じゃない! 話聞いてればそれくらい伝わるわ! 全く…」
「ごめんごめん。でもさー、えりか人見知りじゃん。ちょい気になってねー」
全く、この友人はなまじ私の事を知ってるだけに、失礼な発言も飛ぶ…
「人見知りって…コノヤロウ…まぁ、否定はしないけどさぁ…」
「でしょう? 木谷さんいなかったら、今頃まだ友達いなかったんじゃない?」
む、否定できん発言を。確かにそうだよなぁ〜。別にそれでもいいとか、
ホントに思ってたからなんとも言えないけど…
「ちょっと、気にしてなさすぎたかも…」
「ま、いーんじゃないの? 結果としては友達できたんだし、
私もいるし、三年もあったら、絶対友達できてるって」
そういう楓は社交的だ。きっとクラスにも友達が何人かはできただろう。
「時々、羨ましくなるんだよね。楓が」
「ほぅほぅ、それはまた殊勝な発言を。んじゃ、素直に見習ってなさい、
この私を」
こういう物言いしなきゃ、いいんだけどなー。
「お、そろそろ着くね」
ん?
「あ、本当だ。これを三年間繰り返すのかと思うと…ちょっと面倒だなぁ」
「今更何を言っておる。もっと近い所もあったろうに」
ごもっともだ。通学距離よりも制服のかわいさで選んだ私と、
結果的にその尺度に付き合ってくれた形になった楓は、通学の距離について、
文句は言えない。
「その辺は禁句だね、私達」
「そーゆーコト。さ、さっさと降りる!」
なぜか楓に促される形で、私達は電車を降りた。
〜つづく〜
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