連載小説6 |
「んじゃねー」
「おう。また明日ねー」
駅から出て、楓とはここでお別れ。
楓は私とは違う駅向こうに住んでるから、改札でお別れなのが、
ちと寂しい。
もちろん、駅前には色んなお店があるから、お店に入ってくっちゃべる、
とかは十分出来るけど、今日は特に用もないし。
「さて、帰るか」
駅からうちまで、特に寄り道する場所もない。
何しろ完全な住宅街だから、駅前に色々揃ってて、それでおしまい。
チャラリラリ〜ン♪
「ん?」
メールだ。
「誰からだろう」
ケータイの画面に出てたのは、「メール受信一通」。中を確認すると、
「木谷まりな」の名前が。
おお、さっそくアドレス交換の効果が。でも、なんだろう…
『もう帰り着いた?』
タイトルからして、個性出てるなぁ。
『今日は友達になってくれてありがとう。
明日からもガイダンスが続くけど、頑張ろうね。
明日も綺麗な髪でいますように。
まりな』
なんだろう、友達になった初日だし、挨拶的な感じかな?
よし、返信だ。
『今家に向かって歩き中』
『こちらこそ、今日はありがとう。
友達作りが苦手だから、助かったよ。
それに、この前髪を気に入ったって言ってくれて。
さっき紹介した楓なんて、見るなり爆笑だったから、
嬉しくて嬉しくて。
明日から、じゃなくて三年間、よろしく』
よし、こんなもんかな。送信っと。
帰りの道中でメールを打つのは危なっかしいけど、
住宅街をてくてく歩くお供にはちょうどいい。
人が少ない道で、車通りもないし、ここはそんなに危なくない。
「高校初日…友達は一人…十分!」
私は足取り軽く、家へと向かってた。
〜つづく〜
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第6回 | ||
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