連載小説9 |
木谷さんは、どうあっても私を生徒会役員に立候補させたいらしい。
もはや、休み時間だというのに軽い舌戦だ。
「自分は部活に没頭するって言っておいて、私には立候補を勧めるって…」
「だって、多分私の打ち込みっぷりを見たら、驚くよ? 私は、それくらい
部活に打ち込むつもりだから」
確かに、私は木谷さんが言うように、部活に打ち込んだとしても、
絶対余力は残すはずだ。それを考えると、まず間違いなく勝ち目がない。
「それに、生徒会役員だって、大体なんらかの部活に入ってるでしょ?
だとすれば、倉橋さんに立候補できない理由はないはず」
ニコニコ顔でこういう事を言われると困る。突っぱねるのが道理なんだけど、
なかなかそういう態度も取れないし。
「で、でも、私が当選するかどうかは別にしても、そんな能力ないし!」
「それこそ、やってみなくちゃ分からないでしょ?」
やらないうちから出来ないなんて言うな。それが木谷さんの言い分。
でも。
でも。
でもでも!
木谷さん、完全に自分の事は棚上げな気がする。
「木谷さんこそ、やる前から向いてないとか部活に没頭するとか言ってるじゃん」
「ん、まぁ、事実だからね」
事実? それは一体どう言うどう言う意味だろう。
「私、中学時代生徒会役員だったのよ。周りが推すから立候補したら、
何の因果か当選しちゃってね。で、やってみたら、これが向いてなくて、
部活にも悪影響与えちゃって…」
うを、まさか経験者だとは! こ、これは勝てないかも…
「そんな私の直感。倉橋さんは向いている」
「な、何を根拠にそんな!」
ううむ、困った。どんな根拠があって直感に響いたのか知らないけど…
「根拠? その出で立ちと振るまい、かな」
「無理、無理だからその理由。その直感は外れるってば!」
っ!
「っ!」
瞳が、一切揺らいでない。
「絶対、向いてる」
く!
この人には勝てないと悟った休み時間だった…
〜つづく〜
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第9回 | ||
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