真・恋姫†無双〜黒の御使いと鬼子の少女〜 65 |
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(まぁ、王道と言えば危機に陥った彼女を救うというものがありますな)
(……お前、それは流石にないぞ)
(……手段の1つですよ。あくまで)
(まじめにやってくれねぇか?)
(では、真面目に。玄輝殿の鈍さを素直に謝罪して全部ぶち撒けてしまうのはいかがか?)
(……ん? 後半何って言った?)
(ですから、全てを雛里に言ってしまうのですよ。本気で惚れているのは愛紗で、雛里の想いには答えられないと)
それは……
(………………)
(心苦しいですかな?)
(……ああ)
(ですが、玄輝殿が主のようになれないというのであればそういう道を通るしかありませぬ。一方しか選べぬのであれば特に)
その言葉に閉口するしかなかった。心の中で星の言った言葉に同意する。
(俺は、そもそも誰かを愛するということがどんなことか知らなかった。そんな俺がいきなり二人も愛せるなんてとても……)
そんなことを考えているときだった。
「申し訳ありませぬ! どなたか将軍様はいらっしゃりませぬか!」
一人の兵が慌てた様子で飛び込んできた。それを愛紗が厳しくも落ち着いた声で対応する。
「騒がしいぞ。何用か」
「も、申し訳ありませぬ! ですが、火急の知らせが!」
「何があった?」
「実は、町に賊が……!」
「それならば、警邏の兵に伝達せよ」
「その兵がことごとくやられているのです!」
「なんだとっ!?」
その報告に皆の雰囲気が一気にひりついたものへと変わる。
「何者だ、そいつは!」
「わかりません!ただ、相当の手練れとしか……!」
手練れが、町に?
(マズイ!)
一気に背筋に悪寒が走る。俺はその場から全力で飛び出す。
「玄輝殿!? どこへ!?」
「雛里を探してくる! 万が一町に出ていたらマズイ!」
それだけ星に伝えて部屋を出て一直線に門へ向かい、たどり着くと同時に門番の肩を掴んで雛里を見たかを聞く。
「え、えっと鳳統将軍でしたら先ほど走って出ていかれましたが……」
「どっちの方へ行った!」
「す、すみません、今日は人通りが多くてすぐに見えなくなってしまったのです」
「くそっ!」
俺はその場を離れ、近くの家の屋根に飛び乗り、周囲を見渡す。
(どこだ、どこにいる……!)
血眼になってしまうのではないかと思うほど集中して小さな黒い帽子、あるいは騒ぎが起きていそうな場所を探すがなかなか見つからない。
(くそっ!)
逸る気持ちが俺の視界を狭めているような気がして抑えようとするが、それでも視野が狭まっていくような感覚がする。
「玄輝殿!」
「っ!」
「一度こちらに!」
愛紗の声に呼ばれ、彼女の元へ飛び下りる。
「焦るお気持ちはわかりますが、報告を最後まで聞いてからにしてください」
「……すまない」
「先ほどの賊ですが、西通りの方から中通りの方へと移動しているようです。格好としては左腕に白い布を巻いているとのことでした」
「白い、布……!?」
頭によぎる白装束の姿。
(……いや、違う。アイツらではない)
何せ兵士が報告できているのだ。本当にアイツらの仕業ならばまともな報告ができるはずがない。
「……ふぅ、わかった。じゃあ俺は中通りから西通りへ移動するように探してみる」
「では、私は賊を追うようにして移動します」
「頼む」
二手に分かれて雛里の姿をひたすら探す。
(雛里……)
ただ無事を祈る。あんなのが最後の別れなんて御免だ。
(全部、聞いてからだ。あいつの想いを、でなきゃ今旅立つなんてできねぇ!)
覚悟を決めろ。傷ついて、傷つける覚悟を!
「こいっ!」
「っ?!」
耳の中にやたら攻撃的な声が入り込んだと思うよりも早く足を止め、その声が聞こえた方向へ視線を向ける。すると警邏の兵に取り囲まれた腕に白い布を巻いた男とその腕に捕らえられた雛里が見えた。
(っ!)
俺は全力で屋根を蹴り、男の目の前に着地する。
「玄輝さん、ごめんなさい……」
俺が来たことに気が付いたのか、雛里の口から謝罪が漏れる。
「たく、謝るくらいならもうちょっと注意して町を歩いてほしいもんだな」
冗談交じりにそう返すと、雛里は勢いよく目を開けて驚きの表情になる。
「玄輝さん……?」
「……なんだ、気が付いていたわけじゃないのか」
まぁ、そこらへんはどうでもいい。しなければいけないことを済ませなければ。
「おい」
「っ!」
雛里をいまだに離さない男に殺気を込めた声で話しかける。
「その娘を今すぐ離せ。そうしたら命だけは助けてやる」
「ふ、ふざけんな! お前が剣を振るうよりも早くこいつの首は切れるんだぞ!」
まぁ、確かにできなくはないだろう。見た感じの実力は白蓮より少し下程度だ。しかし、俺よりは格下だ。
「別に、やれるならやればいい」
「な、なに?」
「ただ、それをやった瞬間、お前は楽に死ねると思うな」
その言葉共に鯉口を切って威嚇をする。
「っ!」
「黒死神の名前は伊達じゃないぞ?」
それが決め手となり男は観念し、雛里を離して投降した。
皆さまどうもお久しぶり+おはこんばんにゃにゃにゃちわ
作者の風猫です。
前回の更新からほぼ一年、久しぶりの更新です。
…………いや、その、すいません色々あったんです。
とにかく、再開しましたのでこれからも不定期ではありますが更新していこうと思います。
なにとぞ、よろしくお願いいたします。
では、今回はここらへんで。
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白髪の鬼子と黒の御使いの、守るために戦い抜いたお話 オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話です。 大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。 ちゃんとオリジナルの話もありますよ?(´・ω・) |
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