連載小説16 |
帰りの車内…
私達と帰れて嬉しそうな木谷さんと、特に気にしてない楓と、
微妙な顔をしてそうな私。
「んで、桜ヶ丘町で下りるんでしょ? その後は?」
「駅でさよなら。反対側に住んでるからねー」
「駅向こうも校区なのだよー」
それは事実。そして、うちの駅は他の路線が通ってない。もちろん、
歩いて行ける範囲にも他の駅はない。
バス停だって、あるにはあるけど住宅街といくらかのお店と駅を繋ぐ、
そんなモロにローカルな路線だ。
「だから、駅でさよならだね」
「そっかー。て、私引き返しルート?」
引き返しかぁ…ふと、大まかな路線図を浮かべてみる…
「だったら、終点まで行っちゃって、そこから乗り換えるってルートもあるね」
「ふむふむ」
ぱかり、と木谷さんはケータイを開いた。
「路線検索?」
「そ。便利な世の中になったもんよねー」
と言いながら、もう携帯を閉じてる。
「終わったの?」
「うん。どうやら、このまま終点で乗り換えた方がいいみたい」
「ほうほう」
にしても、検索早いなぁ。
「ねぇ、もしかして、下調べしてた?」
「え? まさか。だって急な思いつきだし。ただ、私方向音痴で、
普段から使ってるから」
「ほうほう」
さっきから楓は納得するばかり。
「どのみち、降りるまでまだ時間あるでしょ? せっかくなんだから、
色々お話ししましょ」
「そ、そだねー」
こうして、怒濤のおしゃべりタイムは幕を開けたのだった…
〜つづく〜
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第16回 | ||
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