連載小説17 |
帰りの電車にて。
それは質問攻めから始まった。
「二人って、いつ知り合ったの?」
「小五の頃だっけ」
「うむ」
小五で同じクラスになって、当然同じ中学に進んで、同じ高校に進んだ。
ま、それだけの仲なのは事実だけど。
「第一印象どうだったの?」
「う〜ん。楓、覚えてる?」
「忘れた」
だよねぇ。
「ただ、話が合ったよね。楓とはいつも無意識に話題が合うから」
「そりゃねぇ。んで、確か、どこに住んでるかとか、どこの幼稚園出身か、
みたいな話しなかった?」
そういえば…したような…しないような…
「ごめん、楓。全然覚えてない…」
「ひっどー! ちょっと木谷さん、聞いた? えりか友達甲斐がなくない?」
「う〜ん、何年も前でしょ? 覚えてなくても当然じゃないかなぁ…」
お、木谷さんが私の側に回ってくれたぞ。よぉ〜し。
「だよね! 普通覚えてないよねっ!」
「まぁ、全部が全部とは言わないけどね」
「むむむ…私不利? というか、覚えてなくても仕方ないのか…」
仕方ないかどうかはともかく、こっちだけ忘れてると悪い気もするんだよなぁ。
「とはいえ、住んでる所も結構離れてて、遊ぶの苦労したよね」
「あぁ〜、それはねー」
「駅でさよならって事は、お互いが駅向こうか。それは苦労するね」
木谷さんにもその辺は伝わるはず。
「駅が真ん中って分けじゃないんだけど、分かりやすいから駅で待ち合わせて、
小学校の頃はカラオケとかお店とかも行かないし、公園に行くでしょ?
そうすると、駅の近所になくってさぁ」
「うんうん。学校の近くの公園に行こう、て時はよかったんだけど、
それ以外の時はお互い自分の公園に行きたがるから、バトルだったよねー」
「ほうほう、倉橋さんと楓さんのバトルか」
ん、なんか、心のメモ帳にメモってる。な、なんだかなぁ。
「バトルって言っても、じゃんけんで決めてたけどね」
「そうそう。えりかって、大体グーから出すから、パー出してれば勝てて。
でも、それじゃ勝ちすぎて怪しまれるから、時々わざと負けてねー」
そ、そんな事になってたのか…
「わ、私…たまに勝てるのが嬉しかったんだけど…」
「それが、実は全部出来レース。ぷぷっ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
「わ、笑うなぁっ! ちょっと楓、ここで暴露する事?」
「だって、木谷さんもせっかく友達になったんだから、それくらい出さないと」
ちょ!
「そんな情報いらないでしょ。全く…」
これは困った。なんとか仕返ししてやりたいなぁ…
「くっそー!」
私は少しの間、考え込む事となった。
〜つづく〜
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第17回 | ||
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