連載小説23 |
夕飯が終わると、我が家じゃ勉強タイムだ。
親が厳しかったから。
おかげで、今でもテレビを見る習慣はあんまりないし。
「勉強って言ってもなぁ…」
まだ授業始まって日にち浅いし、する事ないんだよなぁ…
チリンチリーン♪ チリンチリーン♪
真新しい教科書を前に唸っていたら、メール着信を知らせる鈴の音が。
「この音は…木谷さん?」
一応、友人は着メロを分けているのだ。依存症を自覚するくらいだからね、
使いこなしてるってわけさ。
「ん、なんだろ」
ピピッとメールを開いて確認する。ちょうどいい時間稼ぎが出来たね。
『今日はありがとう』
タイトルは平凡。まぁ、今日の事を考えれば、来てもおかしくはないか。
こっちから送ってもいいんだろうけど、特に理由はない。
『今日は楽しい時間をありがとう。
短い時間だったけど、いつもよりながく二人といられて楽しかった。
というか、わがまま聞いてくれてありがとう。
あの後、無事に乗り換えて帰れたよ。
日本の交通網は偉大だね。
じゃ、また明日。
文芸部の見学、よろしく』
うーん、木谷さんらしいっていうか。
「さて、なんて返信しようかな。つーか、普通でいいか」
よし。まずはタイトル…さすがに『Re:』てのはね…
『こっちこそ』
こんなもんか。
『こっちこそ楽しい時間をありがとう。
いきなり言われた時は驚いたけど、ああいうのもいいね。
でも、時間とお金が余分に掛かったんじゃない?
無理はしないでね。
じゃ、明日学校で』
ふむ、こんなもんか。
とはいえ、本文だけじゃ面白くないし、今の自分写メを付けてやった。
ピローン♪
静かな部屋に、盗撮対策用のシャッター音(設定変えてるけど)が響く。
「よーし、添付っと♪」
さて、行って来〜い♪
っと、さて、また教科書とにらめっこするか…
って!
私はふと思い出した。確か、部活案内の冊子をもらってたんだ。
「バッグの奥底に眠ってるはず…」
がさごそと漁ると、それらしいのが出て来た。
「うはっ、こりゃ随分立派だあ…」
立派な作りだと、とりあえず読むのが楽しみになる。
「何々?」
結局この夜は、部活案内の冊子を読んで更けて行った…
〜つづく〜
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第23回 | ||
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