連載小説26
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部活体験の前に、部長さんが手短に説明してくれた。

 

 

「うちの文芸部って、まぁ、主には小説や詩を書くのが主な活動ね。

まぁ、内容は自由。で、年に二回、文化祭と春に、本を作ってるの」

「なるほど…うちの中学も似たような感じでした」

「男子生徒はいんないんですか?」

 私の質問はなんだか空気読んでないような感じだけど…気になったんだから仕方ない!

「あぁ、何となく男の子は入り辛いみたいで。特に男子禁制って分けじゃないかのよ」

「あ、そうなんですか。後、私小説って読んだりもしないんですけど、

大丈夫ですか?」

 正直言って、何も浮かばないんですけど。

「それは大丈夫よ。初心者でも大丈夫なやり方の工夫、それも私達の実力向上につながるから」

「は、はぁ。そういうものなんですか…」

 やっぱり、私には分からない。遠い世界だ…

「とりあえず、初めて見れば分かるわよ。二人はあっちに座ってね」

 案内された席に座ると、他の先輩が紙を配ってくれた。

「あ、うちの中学とは違う原稿用紙ですね」

「まぁ、何種類もあるからね」

「あ、ありがとうございます」

 見ると、作文に使うような原稿用紙なんだけど、見覚えがない。これが、

色々種類がある、ていう事か。

「で、ペンはコレを使ってね」

「あ、はい」

「ありがとうございます」

 ペンと言っても、普通の鉛筆だ。そこだけは、なんか安心。

「で、テーマは自由だから、好きに書いて。っと、倉橋さんは初心者だったわね」

「はい」

 もう、何を書いていいやらさっぱり。

「じゃあ、テーマを与えましょ。テーマは…女子高生の日常、でどうかな」

「日常…ですか?」

 うーん、日常は毎日繰り返してるけど、それをどう書くんだ?

「そうね…まだ難しいかしら。じゃあ、今日起きてから今までを書いてみたら?」

「あぁ、今日のレポートみたいな感じですね? それなら出来るかも」

 よぉし! それならできるぞぅ! と張り切ってると、隣の木谷さん…

「すごい…」

 テーマは自由とか言われてるのに、なんでそんなすらすら書けるんだ?

「これくらい、経験者なら当然よ。倉橋さんも頑張ってね」

「う、うん」

 今日起きてからのレポート…

 

『朝起きた私は、鏡を見て一番に気付いた寝癖を、必死に解いた…』

 

 

よし、こんな出だしでどうだろう。

 

 

〜つづく〜

説明
第26回
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女子高生 部活 文芸部 

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